管理職・教育者

指示待ち部下が動かない本当の理由

kokomaru
男性
男性

指示は出してるんです。でも部下が動かない。動いても“言われたことだけ”。結局、僕の仕事が増えるんですよね…

ココフク
ココフク

それ、部下の性格よりも“動けない理由が成立している設計”の可能性が高いです。まず原因の見立てを合わせて、動ける形に仕事の渡し方を組み替えていきましょう

「指示は出しているのに、部下が動かない」「やっと動いても、言われたこと“だけ”で止まる」――マネジメントをしていると、この状態がじわじわ効いてきます。忙しいほど、「結局また自分がやる」「育成が進まない」というループに入りがちです。

ただ、ここで押さえておきたい前提があります。いわゆる“指示待ち”は、性格や根性だけで説明しきれないことが多い、という点です。本人の中では「こう動くのが一番安全」「これが仕事の正解」という考えが成立していて、結果として止まって見える。つまり、動かないのではなく、動けない理由が整ってしまっていることがあります。

この記事では、「指示待ち部下」が動かない背景を、感情や心理のクセまで含めて整理し、現場で再現できる形に落とし込みます。

この記事でわかること

  • 指示待ち部下が動かない背景(失敗回避・役割同一化・裁量経験不足)
  • 原因の切り分け視点(目的理解/手段不明/権限・判断の境界/挑戦後の扱い)
  • 主体性を促す依頼設計(目的・成功基準・裁量範囲の明示+中間レビュー前提)
  • 提案を引き出す型(仮説→根拠→リスク)
  • 日々の関わり方の要点(問い・承認・学び抽出)

🍀 “指示待ち”の心理構造

ここでは「指示待ち=やる気がない」という短絡を一旦外して、その人の中で“動かないことが合理的になる仕組み”を分解します。成人発達理論はラベリングの道具ではなく、「相手がどんな前提(ものの見方)で仕事を捉えているか」を推測するレンズとして使います。

失敗回避と評価不安(罰の回避が最優先)

指示待ちの根っこで多いのは、能力不足より先に「失敗したときの不利益」が大きく感じられている状態です。本人の中でリスクが膨らむほど、「動く」より「動かない」ほうが安全になります。

  • 怒られる/詰められる/恥をかくイメージが強い
  • 評価が下がる、信用を失うのが怖い
  • 「勝手にやった」と見なされるのが怖い

役割同一化(言われたこと=仕事の定義)

「仕事=上司から言われたこと」と定義してしまうと、指示がない領域は“自分が踏み込んではいけない場所”になります。上司が「考えて動いて」と言っても、部下の中では「期待に沿う正解を当てる」に変換され、止まりやすくなります。

  • 言われていないことは“やらないほうが安全”になる
  • 目的より「期待に沿うか」が判断軸になる
  • 正解が確信できるまで動けない

裁量の経験不足(成功の手応え欠如)

自分で決めて、やり切って、うまくいった経験が少ないと、裁量を持つこと自体が怖くなります。「考えても確信が持てない」ため、結果として“正解待ち”になります。

  • 選択肢を作る経験が少ない
  • 選んだ結果が良かったという因果が体に入っていない
  • 小さな成功が積み上がっていない
男性
男性

なるほど…『やる気がない』じゃなくて、本人の中で“止まる方が安全”になってることがあるのか

ココフク
ココフク

そうです。失敗回避・役割の捉え方・裁量経験の不足が絡むと、『正解が分かるまで動かない』が合理的になります。次は、それを現場で見分けるチェックに落とします

🍀 原因診断のチェック

同じ“動かない”でも、原因が違えば打ち手は変わります。ここでは、現場で見立てを揃えるためのチェック視点を3つに整理します。

目的理解の欠落か?手段不明か?

止まっている理由は大きく2種類あります。「目的が入っていない」のか、「目的は分かるが手段が浮かばない」のか。見分けは問いでできます。

  • 「この仕事のゴールを一言で言うと?」
  • 「終わったとき、何がどうなっていれば成功?」
  • 「いま考えている選択肢を3つ挙げるなら?」

ゴールが曖昧なら目的理解の欠落、ゴールは言えるのに候補が出ないなら手段不明(裁量経験不足や不安)が疑わしい、という具合に切り分けます。

権限・判断の境界が曖昧か?

「任せた」と言いつつ境界が曖昧だと、部下は踏み込めません。ここは部下の主体性というより、設計の問題です。

  • 決めていい範囲(何を自分で決めてよいか)
  • 使っていい資源(人・時間・予算・依頼の可否)
  • 止める基準(どの条件で相談に戻すか)

前回の“挑戦後の扱い”(叱責/称賛)の履歴

人は「挑戦した結果どう扱われたか」を学習します。挑戦が痛い経験になっていれば、次は止まるほうが合理的になります。逆に、結果が微妙でも学びを抽出して次に繋がる経験があると、挑戦は続きます。

  • 挑戦が「詰められる体験」になっていないか
  • 失敗時に「学び抽出」で終われているか
  • 成功時に「何が良かったか」を言語化しているか
男性
男性

同じ“動かない”でも、目的が入ってないのか、手段が分からないのか、境界が曖昧なのか…で対応が変わるわけですね

ココフク
ココフク

その通りです。原因が違うのに同じ叱り方をすると逆効果になりやすい。診断ができたら、次は“主体性が出る設計”に変えます

🍀 主体化を促す設計

主体性は「気合い」ではなく、仕事の渡し方で育ちます。ここでは、部下が“考えて動ける状態”になるための設計を3点セットで示します。

目的・成功基準・裁量範囲を明示

まずは地図を渡します。目的、成功基準、裁量範囲が曖昧だと、「正解当てゲーム」になって止まります。逆に先に明示すると、思考が外に出やすくなります。

  • 目的:何のためにやるのか(上位目的まで1段引き上げる)
  • 成功基準:何がどうなれば合格か(品質・納期・関係者合意など)
  • 裁量範囲:どこまで自分で決めてよいか/どこから確認か

初回は“中間レビュー前提”で安心を担保

いきなり丸投げではなく、「途中で軌道修正できる前提」にします。これは監視ではなく、支援の足場です。

  • 「まず叩き台を〇日で。完成じゃなく方向性チェックでOK」
  • 「この時点で一回レビュー。合ってたら次に進もう」
  • 「困ったらここで戻す(相談の条件)を決めておく」

提案フォーマット(仮説→根拠→リスク)を渡す

「提案して」と言われても、型がないと固まりやすい。そこで、思考を外に出す器を渡します。

  • 仮説:私はAが良いと思う(結論は1行)
  • 根拠:データ/現場観察/過去事例など
  • リスク:懸念点と対策(代替案・戻し方)
  • 確認したい点:上司の判断が必要な境界(決裁ポイント)
男性
男性

『考えて動け』じゃなくて、目的・成功基準・裁量範囲を先に渡す。初回は中間レビュー前提。提案の型も渡す…これは確かに動きやすそう

ココフク
ココフク

はい。主体性は丸投げで育つより、“安心して動ける運転席”を用意して段階的に広げた方が育ちます。最後に、日々の声かけで差がつくコツをまとめます

🍀 扱いのコツ

設計を整えたら、次は日々の関わり方です。ここでの狙いは、部下を“立派な人”に作り替えることではなく、現場が回り、あなたの負担が減り、部下も前に出られる状態を作ることです。

指示より問い(「目的は?選択肢は?」)

指示を増やすほど、その場は動いても“考える筋肉”が育ちません。代わりに、思考の順番を固定する問いを使います。

  • 「目的は何?」
  • 「成功って、何がどうなってれば合格?」
  • 「選択肢を3つ挙げるなら?」
  • 「それぞれのリスクは?潰し方は?」
  • 「どこがあなたの判断で、どこからが私の判断?」

小成功の即時承認で行動学習を強化

承認は人格ではなく行動に当てます。「何が良かったか」を短く具体的に言うほど、再現されやすくなります。

  • 「報告が早かった。助かった」
  • 「仮説→根拠→リスクの形で出したのが良い」
  • 「迷ってる点を先に言った判断が良かった」
  • 「関係者に先回りで確認したのが効いたね」

失敗時は“学び抽出”を優先

失敗対応は免罪でも、詰めでもなく、「次に同じ失敗を減らすレビュー」です。短時間で回せる型にしておくと、チーム文化になります。

  • 事実:何が起きた?(解釈を混ぜない)
  • 分岐点:どこで判断が分かれた?
  • 前提:そのとき何を前提にしていた?
  • 次回:次は何を変える?(1つでいい)
  • ルール化:次から「ここに来たら相談」にしよう(境界線の更新)
男性
男性

指示を増やすより、問いで整理させて、小さな前進を即時に承認。失敗は詰めるより学び抽出…“育成”が現実的になってきました

ココフク
ココフク

それが回り始めると、報連相が早くなり、提案も出やすくなります。結果として、あなたの負担も減って、チームの再現性が上がります

🍀 まとめ

指示待ちは、部下の性格だけで説明できないことが多く、設計と関わり方で改善できる余地があります。まずは心理構造を分解し、原因を見誤らない診断を置くことが出発点です。

  • 指示待ちは「動けない理由が成立している」状態になっていることがある
  • 原因は「目的理解」「手段不明」「境界の曖昧さ」「挑戦後の扱い」などで切り分ける
  • 主体性は、目的・成功基準・裁量範囲の明示と、中間レビュー、提案の型で育てやすくなる
  • 日々は「問い」と「承認」と「学び抽出」で、行動が回る状態を作る

「自分で考えろ」と言い続けて消耗するより、考えて動ける条件を整える。マネジメントの手触りを、そこに戻していきましょう。

ABOUT ME
kokomaru
kokomaru
雑食系学習者
専門にとらわれず、興味のタネを見つけては掘り下げる「雑食系学習者」。 文系・理系の垣根を越え、心理学・哲学・教育・社会理論などをつまみ食いしながら、「人間を理解すること」をテーマに独自の視点で探究を続けています。

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