親の期待と子どもの自主性のちょうどいい距離感

テスト前なのに、またゲームしてて……。どこまで言っていいのか、もう分からなくなってきました

期待してるからこそ迷う親心”ですね。今日は、そのバランスを一緒に整えてみましょうか
「またゲーム? テスト前なんだから、少しは勉強してよ」
そう言いながらも、心の中では
――これ以上言ったら反発するかな……
――でも、何も言わなかったらこの子はダラダラするだけかも……
と、モヤモヤがぐるぐるしている。
「期待をかけないと動かない気がする」
「でも、期待をかけすぎると、この子をつぶしてしまうかもしれない」
そのあいだで揺れ続けて、ため息だけが増えていく。
こんな感覚に覚えはありませんか。
今回のテーマは、「親の期待」と「子どもの自主性」をどう両立させるか、という問題です。
勉強・部活・習い事……。親として「こうなってほしい」「ここだけは頑張ってほしい」という願いを持つのは自然なことです。でも、その願いが「押しつけ」になってしまうと、子どもはプレッシャーで固まったり、反発したり、自分で考える力を使わなくなっていきます。
逆に、「自主性が大事だから」とすべてを子ども任せにすると、今度は「どう決めればいいのか」がわからず、困り感だけが積もっていくこともあります。
完璧な親になる必要はありません。
「子どもが主役の舞台で、自分はどう支える役に回るのか?」を一緒に考えていく、そんなガイドとして読んでもらえたらうれしいです。]
この記事でわかること
- 親の期待の高さ/低さが、子どもの心や行動に与える影響
- 「結果」を追い立てる期待と、「プロセス」を支える期待の違いとポイント
- 親が関わる範囲と、子どもに任せるラインの考え方
- 勉強や部活など、場面別に使いやすい声かけ・対話フレーズの例
- 親が「舞台監督」として、子どもの自主性をそっと支えるための視点・ヒント
🍀期待の効き方を理解する

高すぎる期待はプレッシャーになる
親としては「あなたならもっとできるはず」「せっかく塾にも通っているんだから」と、励ましのつもりで言った言葉が、子どもにとっては「失敗してはいけない」というプレッシャーに変わってしまうことがあります。
たとえば、
- 「次は絶対80点以上ね」
- 「部活でもレギュラーにならないと意味がないよ」
といったメッセージは、子どもの頭の中で
「80点を切ったらがっかりされる」
「レギュラーになれなかったら価値がない」
という“条件付きのOK”に変換されやすくなります。
すると、
- 失敗を極端に恐れる
- 新しいことに挑戦しなくなる
- 「どうせ怒られるなら、最初からやらないほうがマシ」と投げ出す
といった反応が出てきやすくなります。
親の「もっと伸びてほしい」という純粋な願いが、子どもにとっては「今の自分では足りないというメッセージ」に聞こえてしまう。このすれ違いが、高すぎる期待の怖さです。
低すぎる期待は機会を奪ってしまう
一方で、「あまりプレッシャーをかけたくないから」と、期待そのものを引っ込めてしまうパターンもあります。
- 「無理しなくていいよ。やりたくなかったらやらなくていい」
- 「あなたの好きにしなさい。口出しはしないから」
子どものペースや気持ちを尊重するのはとても大事です。
ただ、何でもかんでも「あなたの自由」で終わらせてしまうと、
「自分にはあまり期待されていないのかもしれない」
「どうせ頑張っても変わらない」
と感じさせてしまうことがあります。
その結果、
- 最初からハードルを低く設定してしまう
- 少し難しそうなことは避ける
- うまくいっても「たまたま」としか思えない
など、「やればできるかもしれない」という感覚(自己効力感)が育ちにくくなります。
プレッシャーを避けようとして、挑戦するきっかけや「背中をそっと押してもらう経験」まで手放してしまう。これが、低すぎる期待の落とし穴です。
「期待の質」を設計する
では、高すぎても低すぎても良くないとしたら、どう考えればいいのでしょうか。
ポイントは、「量」ではなく「質」を整えることです。
ここで整理しておきたいのは、
- 結果だけに向けられた期待
- 「テストで〇点」「大会で入賞」など、成果だけにフォーカスしたもの
- プロセス(努力・工夫)に向けられた期待
- 「一緒に計画を立ててみようか」
- 「昨日より5分長く集中できたね」など、やり方や取り組み方へのメッセージ
という2つの違いです。
結果への期待そのものが悪いわけではありません。
ただ、結果だけに注目すると、
「うまくいったら褒められる/失敗したらがっかりされる」
という二択になり、子どもは「正解を外さないこと」にばかり意識を使うようになります。
一方で、プロセスに目を向けた期待は、
「うまくいっても、いかなくても、やり方を一緒に考えていこう」
「試したこと自体に価値がある」
というメッセージになります。
これは、子どもが「どうせ無理」ではなく、「もう少しやってみよう」と思える土台になります。
親ができるのは、
- 結果 をコントロールすることではなく、
- 子どもが自分の力を試しやすくなるように「期待の質」と「声のかけ方」を整えること
です。
次の章では、その「質の良い期待」を、日常の関わりの中でどう形にしていくのか――
選択肢の出し方や、目標の立て方・ほめ方を、具体的に見ていきましょう。

私、良かれと思って“もっとできるよね”って言ってたけど、あれってプレッシャーになってたかもしれないですね……

そうなんです。期待そのものより、『結果だけを見ていないかな? プロセスも見てあげられているかな?』って視点を持てると、同じ一言でも子どもに届き方が変わってきます。
🍀バランス設計の実務

ここからは、「いい期待のかけ方」を日常のやりとりに落とし込んでいきます。
キーワードは、
- 情報や選択肢は親が用意する
- 決める経験は子どもに返す
この2つです。
選択肢を示しながら、決めるのは子ども
「全部親が決める」と「全部子ども任せ」は、どちらも極端です。
現実的にはそのあいだにある、「親はナビゲーション役、ハンドルは子ども」という関わり方が現実的です。
たとえば、テスト勉強のとき。
親:「明日のテスト、勉強どうするつもり?」
子:「うーん、何したらいいか分かんない」
こんなやり取りになりがちなとき、いきなり「じゃあ、これとこれを2時間やりなさい」と決めてしまうのではなく、
- 「この3つのやり方がありそうだけど、どれがやりやすそう?」
- 「家だと集中しにくいなら、リビング/自室/図書館、どこが良さそう?」
といった形で、いくつかの選択肢を一緒に並べてあげるところから始めます。
親がするのは「地図を広げる」こと。
そのうえで、
「じゃあ今日は、どのやり方で行く?」
と問いかけ、最終決定は子どもに委ねる。
この小さな「自分で決めた」という感覚が、自主性の土台になっていきます。
もちろん、子どもがまだ決める力を育てている途中なら、
- 「迷ってるなら、今日はAでやってみて、明日変えるのもアリだよ」
と、一旦決めるハードルを下げてあげるのも一つです。
目標は「親の希望」ではなく「共に作るもの」
親として「このくらいは頑張ってほしい」というイメージがあるのは自然なことです。
ただ、そのまま一方的に伝えると、子どもにとっては「やらされ感」になりがちです。
そこで大事になるのが、目標を“共に作る”感覚です。
親:「お母さんとしては、宿題をためこまないでほしいって思ってるんだ。
でも、あなたはどうしたい?」
と、まずは自分の願いを「正解」ではなく「一つの意見」として出します。
そのうえで、
- 「今の自分だったら、どこまでなら頑張れそう?」
- 「テストで何点取りたい、というより、どんな状態でテストに行けたら安心?」
と、子どもの側のイメージや希望も言葉にしてもらう。
そこで出てきたものを組み合わせて、
「じゃあ“毎日ドリル1ページ+分からないところを一緒に確認する”を、まず1週間やってみるのはどう?」
と、親子で納得できる「仮の目標」にしていくイメージです。
ここで大事なのは、目標を一度決めたら固定するのではなく、
- 「1週間やってみて、きつかったら減らす」
- 「余裕がありそうなら、少しだけステップアップする」
と、「試して調整していくもの」として扱うこと。
これが、「親に決められたノルマ」ではなく、「自分も一緒に作ったチャレンジ」として受け止めやすくするポイントです。
評価はプロセス中心にする
目標を決めたあとの関わり方は、結果の評価よりも、プロセスへのフィードバックを多めにすることがカギになります。
つい言ってしまいがちなのは、
- 「結局、目標のページ数できてないじゃない」
- 「この点数じゃダメでしょ」
といった、「できた/できない」のジャッジです。
もちろん振り返りとして必要なときもありますが、それだけだと子どもは
「できてない自分はダメなんだ」
と受け取りやすくなります。
そこで意識したいのが、次のような視点です。
- 「どこまでできたか」よりも「どこでつまずいたか」を一緒に見る
- 「やれなかった理由探し」ではなく「次どう工夫するか」の話に変える
- うまくいったところは、小さくても必ず言葉にして伝える
たとえば結果がイマイチだったとしても、
「今日は30分で集中が切れたね。どのあたりからしんどかった?」
「そこまではちゃんと机に向かえてたの、よく頑張ったと思うよ」
「じゃあ明日は、30分やったら5分休憩を入れるやり方で試してみよっか」
という形で、
- 事実を一緒に確認する
- 頑張れていた部分を拾う
- 次の一歩を一緒に考える
という流れにしていくと、「できなかった自分を責める時間」よりも、「どうすればうまくいくかを考える時間」が増えていきます。
これは、子どもにとって
「失敗しても、一緒に考えてもらえる」
「やり方を変えれば、またチャレンジしていいんだ」
という感覚につながり、結果として自主性や粘り強さを支える土台になっていきます。

親が地図を広げて、最後は子どもに選んでもらう”ってイメージ、しっくりきました。全部任せるか、全部決めるかの二択じゃなくていいんですね。

そうそう。その中間に、“一緒に考えて、決定権は渡す”ゾーンがあるんです。ここに立てると、期待も押しつけじゃなくて『一緒に作ったチャレンジ』になっていきますよ。
🍀どこまで関わるか、介入の深さを調整する

ここからは、親が「どこまで手を出すか」「どこから任せるか」の感覚をつかむパートです。
同じ「期待」でも、距離感がズレると、子どもにはまったく別物として伝わってしまいます。
最初は伴走、だんだん一人で走れるように
新しいことを始めるとき、最初から「全部自分でやりなさい」はかなりハードルが高いものです。
イメージとしては、「最初は補助輪をつけて一緒に走り、少しずつ外していく」感覚が近いかもしれません。
たとえばテスト勉強なら、最初の数回は、
- 何から手をつけるか一緒に決める
- 時間を区切って「ここまでやってみよう」と小さく区切る
- 終わったあと「どこがやりやすかった?どこがしんどかった?」と短く振り返る
ところまで、親がそばについて伴走します。
そのうえで、
- 計画は子どもに任せて、親は「今日どうする予定?」と確認だけする段階
- 「わからないところが出てきたら声をかけてね」と、相談窓口役にまわる段階
と、少しずつ関わり方を引いていくことで、「自分で進めている感覚」を育てていきます。
ポイントは、いきなり手を離すのではなく、子どもの様子を見ながら「サポートの量と距離」を段階的に変えていくことです。
つまずいたときは、一時的に距離を縮める
とはいえ、いつも順調にいくわけではありません。
頑張っていたのに急にペースが落ちる、やる気がしぼんだように見える――そんなときもあります。
そんなときに大事なのは、
「サボっている」「気合が足りない」と決めつけて責める
ではなく、
「どこでつまずいているのか」を一緒に見に行く
姿勢です。
具体的には、こんな流れが役立ちます。
- 事実の確認
- 「ここ最近、宿題に取りかかるまで時間がかかっているように見えるけど、本人としてはどう?」
- つまずきポイントを一緒に探す
- 「難しすぎる? 量が多い? 疲れてて頭が働かない感じ?」
- 小さなリスタート案を一緒に考える
- 「今日は全部は無理でも、まずは〇分だけ一緒にやってみる?」
このように、一時的に親がそばに寄って状況整理を手伝い、また少しずつ離れていく。
こうした「近づいたり離れたり」の調整ができると、子どもは
「困ったときは相談していい」
「助けてもらったあとは、また自分でやってみればいい」
という感覚を持ちやすくなります。
親が「代わりにやらない」ラインを決めておく
期待をかけていると、つい
- 予定を全部親が管理してしまう
- テスト範囲を親が調べて、やるべきことを細かく指示してしまう
- 子どもが忘れていることを、親が先回りして全部カバーしてしまう
という状態になりがちです。
短期的にはそのほうがスムーズに回ることもありますが、長い目で見ると、「自分で考えて段取りを組む」「失敗から学ぶ」経験が削られていきます。
そこでおすすめなのは、
「親がやること」と「子どもに任せること」の線引きを、親の中で決めておくことです。
たとえば、
- 親がやることの例
- 情報を集めて整理しておく
- 選択肢をいくつか用意する
- 相談されたときは一緒に考える
- 子どもに任せることの例
- 最終的にどの選択肢を選ぶか
- いつ・どの順番で取り組むかの「最初の案」を考える
- 失敗したとき、次にどうしたいかをまず自分で言葉にしてみる
もちろん、年齢や性格、状況によってこの線引きは変わります。
大切なのは、「全部親が持つ」でも「全部子どもに投げる」でもなく、
「ここまでは親がサポートする。ここから先は、本人の仕事」
という意識を、親の側が持っておくことです。
成功体験は、必ず子どもの手柄として返す
最後に、とても大事なポイントを一つ。
うまくいったとき、その成果をきちんと子どもの手柄として返してあげることです。
つい、
- 「ほら、言った通りにやったらできたでしょ」
- 「ちゃんとやればできるんだから、最初からそうしてくれればいいのに」
と言いたくなる気持ちも出てきますが、これだと「親の指示通りに動いた結果」というメッセージが強くなってしまいます。
そうではなく、
- 「自分で決めて、続けたからこそ、ここまで来られたね」
- 「あのときやめずに工夫したのが効いてると思うよ」
- 「しんどい中でも、少しずつ前に進めたの、すごいことだよ」
といった形で、
- 子どもが「自分で選んだこと」
- 子どもが「自分で頑張った部分」
にスポットライトを当てて言葉にしてあげることが、自主性のエンジンになります。
親の役割は、「してほしいこと」をコントロールすることではなく、子どもが「自分の力でできた」と感じられる場面を増やすこと――
そのために、距離を近づけたり、少し離れたりしながら介入の深さを調整していくイメージです。

つい不安で、やれること全部手伝いすぎてたかもしれません……。『どこまでを親の仕事にして、どこからを子どもの仕事にするか』を決めておくって、大事ですね。

はい。最初はそばで伴走して、つまずいたら一時的にまた近づいて、また少し離れていく。その“距離の調整”自体が、実は子どもの自律を支える関わりなんです。
🍀場面別・声かけテンプレート

ここからは、これまでの考え方を「実際の言葉」に落とし込んでいきます。
完璧に言おうとしなくて大丈夫です。まずは、気に入ったフレーズを一つ二つだけ拾って、少しずつ自分の言葉になじませていくイメージで読んでみてください。
「やる意味」を一緒に探すときの声かけ
子どもが「やりたくない」「めんどくさい」と言うとき、すぐに説得したり注意したりする前に、「なぜそれをやるのか」を一緒に見直してみると、対話の流れが変わります。
たとえば、こんな感じです。
親:「宿題、めんどくさいよね。正直なところ、どんな気持ち?」
子:「だってやっても意味ないし」
親:「“意味ない”って感じるくらい、疲れてるんだね。
お母さんとしては、『明日困らない程度には終わってると安心かな』って思ってる。
あなたとしては、どうなってたら一番ラク?」
あるいは、
親:「部活、最近しんどそうに見えるけど、続けたい気持ちはある?」
子:「うーん…あるけど、キツい」
親:「“続けたい”と“キツい”が両方あるんだね。
続けたいほうの気持ちは、どんなところから来てると思う?」
ポイントは、
- 「やる気がない」と決めつけず、「その裏にある気持ち」を一緒に探す
- 親の考えを押しつける前に、子どもの本音を先に言葉にしてもらう
ことです。
「じゃあ、どう進める?」と計画に落とすときの声かけ
やる意味が少し見えてきたら、次は具体的な進め方です。
ここで「親が全部決める」のではなく、「子どもに考えてもらう」ことが、自主性を育てるポイントになります。
たとえば、テスト前なら、
親:「テスト勉強、今日と明日で“最低限ここだけはやる”って決めるとしたら、どこ?」
子:「漢字と、社会のワークかなぁ」
親:「OK。じゃあ、
・今日は漢字
・明日は社会のワーク
みたいに分けるのと、
・前半漢字、後半ワーク
みたいに1日でやるのと、どっちがやりやすそう?」
さらに、時間単位に落としていくときは、
親:「今日のうちに“頑張りすぎないライン”ってどのくらい?」
子:「30分なら…」
親:「いいね。“まず30分だけやってみる”にしよっか。
始める時間と、終わったあとのごほうびはどうする?」
このとき、
- 「親がアドバイスしてOKなところ」と
- 「最終決定は子どもに委ねるところ」
を意識的に分けておくと、「やらされている」より「自分で決めた」感覚が残りやすくなります。
「助けてほしいときのサイン」を決める対話
ずっと見守っているわけにもいかないし、「困ったら言ってね」だけだと、子どもはうまくSOSを出せないこともあります。
そこで役立つのが、「助けてほしいときのサイン」をあらかじめ決めておくことです。
たとえば、
親:「勉強とか部活とかで、
“もうちょっと助けてほしい”ってとき、
どうなったらお母さんに相談してくれる?」
子:「うーん、ワークが全然わかんなくなったとき?」
親:「OK。“ワークで3問続けて分からなかったら相談する”っていうのはどう?」
あるいは、
親:「もし部活でしんどくなったときは、
・すぐに相談する
・一回は自分で考えてから相談する
どっちがしっくりくる?」
子:「一回は自分で考えてからかな」
親:「じゃあ、“1週間くらい一人で考えてみて、
まだモヤモヤしてたら相談する”ってルールにする?」
こうやって、
- 「どんな状態になったら相談するか」
- 「相談したとき、親はどう関わるか」(話を聞く/一緒に整理する/先生に相談する etc.)
を事前に軽く取り決めておくと、子どもも「このラインを越えたら言っていいんだ」と安心しやすくなります。
うまくいかなかったときの振り返り対話
どれだけ工夫しても、うまくいかない日はあります。
そこで「なんでちゃんとやらないの」と責めてしまうと、子どもは「次の相談」をしづらくなってしまいます。
うまくいかなかったときこそ、「期待を押しつけない関わり方」を使うチャンスです。
たとえば、
親:「今日は宿題にあまり手がつかなかったみたいだけど、
本人としては、どんな1日だった?」
子:「スマホ触ってたら、時間なくなった…」
親:「そうか。
じゃあ、“今日できなかった自分を責める話”じゃなくて、
“明日どうしたいかの相談”にしようか。
明日をちょっとだけマシにするとしたら、どこを変えたい?」
あるいは、
親:「テストの点数、思ったより低くてショックだよね。
“どこから手をつければいいか分からない”って感じ?」
子:「うん…」
親:「一緒に解き直してみて、
“分かってなかったところ”と“ケアレスミス”を分けてみようか。
それが分かるだけでも、次にやることが見えやすくなると思うんだ。」
大事なのは、
- 「できなかった理由」を責めるために聞くのではなく、
- 「次の一歩」を一緒に見つけるために聞く
というスタンスです。
成功したときの「返し方」のテンプレート
最後に、うまくいったときの言葉がけも整えておきましょう。
ここでのポイントは、「結果だけでなく、プロセスを一緒に言葉にする」ことです。
たとえば、
親:「テスト頑張ったね。点数も上がってるけど、
私が一番すごいなと思ったのは、
“毎日15分だけでも机に向かう”っていう約束を続けたところだな。」
親:「今日の練習、見てて思ったんだけど、
シュートが入る回数より、
“外れても表情を崩さずに打ち続けてた”のが印象的だったよ。」
親:「うまくいったのは、
“たまたま”じゃなくて、
“自分で決めて続けたから”ってこと、忘れないでね。」
こんなふうに、
- 子どもが「選んだこと」
- 子どもが「工夫したこと」「続けたこと」
に光を当てて返していくと、「期待に応えた自分」ではなく、「自分の力で成長した自分」という感覚が残りやすくなります。

具体的な言い回しがあるとイメージ湧きますね。“責めるために聞く”んじゃなくて、“次の一歩を一緒に見つけるために聞く”って、自分に言い聞かせておきたいです。

完璧に言える必要はないですよ。まずは一つ二つ、『これなら言えそう』と思うフレーズを決めて、“困ったときの定番セリフ”にしていくところからで十分です。
🍀まとめ――「期待」は押す力ではなく、支える力にできる
ここまで見てきたことを、いったん整理しておきます。
- 期待が高すぎると、子どもには「失敗してはいけない」というプレッシャーとして届きやすい
- 期待が低すぎると、「自分にはあまり期待されていない」という感覚につながり、挑戦のきっかけが減ってしまう
- 大事なのは「どれくらい期待するか」ではなく、「どんな質の期待として伝えるか」だった
そして、その「質の良い期待」をつくるために、親ができることとして、
- 情報や選択肢をそろえつつ、決める経験は子どもに返す
- 結果だけでなく、努力や工夫のプロセスに目を向けてフィードバックする
- 状況に応じて、近づいたり、あえて一歩引いたりしながら介入の深さを調整する
- うまくいったときには、必ず子どもの手柄として言葉にして返す
こうした関わり方を、少しずつ積み重ねていくイメージでした。
親自身が少しラクになるための視点
最後に、「親側の心」を少しだけ扱っておきたいと思います。
子どもの将来を思えば思うほど、
- もっとやらせたほうがいいんじゃないか
- このままで本当に大丈夫なんだろうか
- 今なにも言わなかったら、あとで後悔するんじゃないか
そんな不安が出てくるのは、ごく自然なことです。
ここで役に立つのは、
「いま目の前で完璧な関わりをすること」ではなく、
「長い時間をかけて、自分と子どもとの“やり方”を一緒に探していくこと」が大事なんだ
という見方です。
- 今日うまく伝えられなかったとしても
- イライラして少し言いすぎてしまったとしても
そのあとで、
「さっきは言い方きつかったね、ごめん。
本当はこういう気持ちから言ってたんだ」
とやり直すことも、立派な「関わりの一部」です。
親が完璧である必要はありません。
むしろ、
- 迷いながら考え続けている姿
- 失敗しても関わり方を修正しようとする姿
そのものが、子どもにとっての「学びのモデル」になります。
子どもが主役、親は“舞台監督”として
子どもの人生の主役は、やっぱり子ども自身です。
親は、その舞台の裏側で、
- 必要なタイミングでスポットライトを当てたり
- 舞台袖からそっと小道具を渡したり
- つまずいたときに、一緒に台本を読み直したり
そんな「舞台監督」のような役割を担っています。
期待は、「セリフを強制するための圧力」ではなく、その子なりの物語を続けていくための「支え」として使うことができます。
この記事の中で、一つでも「これならやってみてもいいかも」と思える視点や言葉があれば、そこから少しずつ試してみてください。
親子それぞれのペースで、「期待」と「自主性」のちょうどよい距離感を、一緒につくっていけたらと思います。
