1on1で話すことがないときは|部下のための準備シートと話題例
1on1の予定が近づくたびに「特に困っていないし、何を話せばいいのだろう」と迷うことはありませんか。大きな成果や悩みがなくても、最近できるようになったことや、続けたい働き方は話題になります。
この記事は、上司との定期的な1on1に参加する部下の方向けに、話題を選ぶ準備シートと三つの記入・会話例を紹介します。次の面談で扱うテーマを一つ決め、面談後の小さな行動までつなげてみましょう。
まず、今回の1on1で何を持ち帰りたいか決める
職場によって1on1の目的や進め方は異なります。評価面談なのか、育成や働き方を話す時間なのかが曖昧なら、最初に上司と確認しておくと準備の範囲が決まります。ここでは、継続的に成長や仕事の進め方を振り返る1on1を扱います。
持ち帰りたいものは、「今うまくいっている工夫への意見」「負担を減らす試し方」「次に経験したい仕事」のどれか一つで十分です。毎回、将来の目標を立派に語る必要はありません。
Atlassianのガイドでも、共通の議題を用意し、面談の終わりに次の行動を確認する進め方が紹介されています。本記事のシートは、その考え方を参考にした実用上の整理案で、効果が実証された診断や検査ではありません。参考:Atlassian「7 tips for better 1-on-1 meetings」
なお、目の前の作業の不明点を解消したい場合は、上司への質問を整理する記事を参考にしてください。日々の確認をため込まず、定期面談では少し長い期間の変化に目を向けます。
コピーして使える、五つの準備欄
前回から今回までを一行ずつ振り返る
前回の面談で決めたことがあれば、最初にそのメモを開きます。何を試し、今回までに何が変わったかを確認してから、次の表に進みましょう。初回なら、直近の数週間を対象にします。
手帳や、職場で利用を認められたメモに次の表を写してください。全欄を埋める必要はなく、思い出せる欄から書けば大丈夫です。
| 項目 | 自分のメモ欄 |
|---|---|
| ① 小さくできたこと | 前回より楽にできたこと、続けたい工夫: |
| ② 学んだこと・関心 | 気づいたこと、もう少し経験したいこと: |
| ③ 仕事量・余裕 | 余裕があった場面、負担が重なった場面: |
| ④ ほしい支援 | 意見、経験の機会、優先順位の調整など: |
| ⑤ 今日のテーマと持ち帰りたいこと | 今回は何を話し、何が決まるとよいか: |
「順調だった」だけなら、その理由を一つ添えます。「前日に準備できたので、朝の確認に追われなかった」のように、場面が分かる程度で十分です。数字がなくても構いません。曖昧な記憶を正確そうな数値に変える必要はありません。
自分用メモと共有用メモを分ける
自分用には迷いや気持ちを残しても、上司へ渡すのは話したい項目だけで構いません。共有用は⑤を先頭にし、必要な背景を①〜④から添えます。提出用の立派な資料を毎回作るより、面談中に更新できる簡単な形を選びましょう。
「順調・迷い・成長」の三つの話題例
以下はすべて説明用に作った架空の事務職の例です。会社や個人の実際の出来事ではありません。
順調なとき:うまくいった工夫を残す
月次の社内資料を担当する人が、準備を前倒しできたケースです。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| ① 小さくできたこと | 資料の見出しを先に作り、当日の編集に集中できた |
| ② 学んだこと・関心 | 中身を書く前に構成を決めると進めやすい |
| ③ 仕事量・余裕 | 月初は余裕があるが、締め前は他の作業も重なる |
| ④ ほしい支援 | この工夫を続けるうえで、改善点への意見がほしい |
| ⑤ 今日のテーマと持ち帰りたいこと | 前倒しの進め方を振り返り、来月も試す点を決めたい |
面談では「今回は準備の工夫を振り返りたいです」とテーマを示します。話の着地点は、来月も同じ方法で試し、準備の負担がどう変わったかを見ること。順調な時期も、続ける理由を確かめる材料になります。
迷いがあるとき:繰り返す負担を見つける
「月末になると、資料作成と社内の依頼対応が重なり、振り返る時間が取れない」という場合です。単発の作業確認ではなく、毎月繰り返す仕事の配分をテーマにします。
持ち帰りたいことは「集中して作業する時間を試せるか」。例えば、上司と相談して週一回の作業枠を設け、急ぎの依頼への対応方法も合意します。次回は、枠を確保できたか、別の人に負担が移っていないかを振り返ります。
成長を考えたいとき:小さく経験する機会を選ぶ
「集計作業には慣れたので、数字の背景を説明する経験をしたい」という場合です。いきなり担当業務全体を変えず、次回の社内報告で一つの項目を説明する機会などを相談します。
何を伸ばしたいか決まらないときは、仕事で大切にしたい価値観を振り返る記事で、自分の関心を整理してから戻ってきてもよいでしょう。
厚生労働省のマイジョブ・カードでも、経験や価値観、今後やりたいことの整理が案内されています。これはキャリアを考えるための資料で、上司との1on1とキャリアコンサルティングは同じものではありません。参考:マイジョブ・カード「在職者の方へ」
話題が多いときも、主題は一つに絞る
五つの欄を埋めると、全部説明したくなるかもしれません。まずは「次回までに何か試したいこと」を主題に選びます。それ以外は、時間が残ったら扱う候補にしておきましょう。
例えば30分の面談なら、近況と前回の確認に5分、選んだテーマに20分、最後の整理に5分という配分も一案です。時間配分は上司と調整して構いません。
話す途中で別の課題が出たら、その場で広げるか、次回の候補に残すかを決めます。結論を急げない内容は、「何を整理してから続きを話すか」まで確認できれば十分です。
最後に、次の行動と確認日を残す
「よい話ができた」で終わると、次回も同じところから始まりがちです。面談の最後に、次の三点をメモに残します。
- 自分が試すこと:何を、いつまでに行うか
- 上司にお願いすること:どの支援を、いつまでに確認してもらうか
- 次回見ること:いつ、何を振り返るか
先ほどの成長の例なら、「自分は次回の社内報告で一項目の説明案を作る」「上司は報告前に確認する時間を設ける」「次の1on1で、説明して気づいたことを振り返る」と残せます。支援は一方的に書かず、その場で合意しましょう。
次回、試せていなくても、理由を確認する材料にできます。時間不足なら範囲を小さくする、状況が変わったなら見送るなど、約束を現実に合わせて更新します。毎回、新しい課題を追加し続ける必要はありません。
安心して話すための注意点とまとめ
1on1だからといって、話した内容が自動的に秘密になるとは限りません。評価への利用や、記録を閲覧できる人が気になる場合は、共有範囲を確認してから話しましょう。私生活の詳細を無理に伝える必要もありません。
準備シートを個人の端末や外部サービスへ移す際は、職場のルールを確認し、会社を特定する情報や顧客情報を含めないでください。上司との面談は治療の場でもなく、話すこと自体がつらい場合まで一人で準備を頑張る必要はありません。
また、急ぎの報告や安全に関わる問題は、月一回の面談を待たず、職場の適切な窓口へ伝えます。仕事上のミスを報告する必要があるときは、ミスの報告を整理する記事も参照してください。
次の1on1には、まず「小さくできたこと」を一つ書き、話したいテーマに丸を付けて持っていきましょう。面談の終わりに、試すことと次回見ることを一つずつ残せれば、次の会話につながる準備になります。
